長期ビジョン「Epson 25 Renewed」から見えてくる、エプソンの未来とは?

今後のエプソンを語るうえで欠かせないのが、長期ビジョン「Epson 25 Renewed」。「持続可能でこころ豊かな社会を実現する」というエプソンのありたい姿の実現に向け、2025年までのロードマップやビジョンが描かれています。そこから見えてくる“エプソンの未来”について、代表取締役 専務執行役員 瀬木 達明が語ります。

参考:長期ビジョン「Epson 25 Renewed」

ものづくり企業の新たな挑戦が詰まっている。

代表取締役 専務執行役員 経営戦略・管理本部長 サステナビリティ推進室長/瀬木 達明

「Epson 25 Renewed」が生まれた背景は?

もともと中期計画で敷いていた「Epson 25」は、売上成長・業績拡大が前面に押し出された内容でした。企業としてはよくある指標ですが、途中経過をみた際にハレーションが生じていることがわかりました。売上成長に向けた膨大な先行投資を行うも、戦略実行におけるスピード不足や環境変化への対応の遅れなど多様な要因が重なり、うまく売上に結びついていない現状がありました。そのため、思い切った改定を行い「Epson 25 Renewed」として刷新。過度な売上成長ではなく「収益性の確保」と「将来成長」を目指す経営方針が描かれています。

「Epson 25 Renewed」の特徴は?

ありたい姿の実現に向け、エプソンが取り組む社会課題を「環境負荷の低減」「労働環境の改善」「分散型社会をつなげる」「インフラ・教育・サービスにおける質の向上」「ライフスタイルの多様化」としました。そしてマテリアリティに「循環型経済の牽引」「産業構造の革新」「生活の質向上」「社会的責任の遂行」を掲げ、価値創造ストーリーを描きました。この取り組みで重要となるのは、「環境」「DX」「共創」です。その中でも「環境」への貢献に重点を置いています。

社会課題を起点とした理由は?

エプソンのDNAである「省・小・精」から生み出す価値は、現代の社会課題解決に貢献できることが多いと考えたからです。社会課題の中でも、価値創造ストーリーの起点となる5つの社会課題は、エプソンが社会課題解決に貢献できる領域を選定しました。

社会やお客様に届ける“価値”を意識したものづくり。

改めて「省・小・精の技術」についてお聞かせください。

「省・小・精の技術」は、創業時から磨いてきたエプソンのDNAです。無駄を省き、より小さく、より精緻に創り上げたものから、大きな社会的価値を生み出す“Less is more”という考え方です。Epson 25 Renewed制定に伴い、「省・小・精の技術」のあり方にも変化が求められました。「省・小・精の技術」から生み出す価値を社会課題解決へとつなげることで、より大きな影響力と発展性を提供できるあり方へと進化を遂げています。

エプソンが届けたい新たな価値とは?

分散型社会への移行をみせる今、世の中に求められているのは“つながり”。それを実現できるのはデジタルの力です。私たちはここに新たな価値があると見出しています。たとえば、これまでもIoT化したエプソンのデバイスをつなげることで、オフィス領域では在宅勤務でのコミュニケーション、産業領域ではカラーマネジメントなどでカスタマーサクセスに貢献してきました。今後は、マニュファクチャリングやビジュアル、ライフスタイル領域でも「省・小・精の技術」から生み出す価値の拡大を実現していきます。

譲れないエプソンの原点と、変化するべき未来。「Epson 25 Renewed」重点テーマ:「環境」「DX」「共創」について

エプソンの「環境」への思いとは?

エプソンが誕生した場所は、長野県諏訪市。豊かな自然環境に囲まれた諏訪湖のほとりで事業を営むうえで、地域の環境に負荷を与えない「地域との共生」が使命でした。環境保全への高い意識は創業時から根付いており、製品作りにも反映されています。たとえば、エプソンのインクジェット技術を応用したオフィスプリンター「スマートチャージ」は、レーザープリンターと比べて省電力性能で、CO2排出量を47%以上削減。ほかにも、微量の水で紙をリサイクルできる「乾式オフィス製紙機ペーパーラボ」など、環境負荷低減に貢献する製品を多く展開しています。創業時からある環境への思いは、譲れないエプソンの原点です。

エプソンにはもともと社内専用機向けに開発していた高精度な力覚センサーがあったのですが、当プロジェクトでは、その規格を標準化し自社のさまざまなロボットに適用できるように改良しました。その結果、社外向けに販売できるようになり、量産が実現したのです。

※エプソンのスマートチャージ対応A3複合機各機種のTEC値とENERGY STAR®画像機器基準Version3.0にて定められたTEC基準値で比較した場合の削減比率。(<LX>シリーズは60ppm機、<LM>シリーズは40ppm機、<PX>シリーズは24ppm機のTEC基準値と比較)

「DX」「共創」の未来構想は?

これまでは開発から生産・販売までを自社で一貫して担ってきました。今後は自前主義を脱却し、「省・小・精の技術」を生かして、社会課題解決につながる「DX」に取り組むとともに、多様な業界との「共創」によるシナジーを生み出していきます。

Message

信州の広大な自然・地域と共存してきたエプソンは、独自のコア技術を磨きあげ革新的な商品を世に送り続けてきました。これからも独自のコア技術を軸に、まだ世の中にない、社会に貢献できるような仕組みを生み出したいと思います。「共創」に取り組む新しいエプソンで、ともに創造と挑戦をしていきましょう。