顧客に寄り添う開発スタイルで、理想のプリンターを実現する

プリンティングソリューションズ事業本部 P商業・産業企画設計部/東海 良次

東海さんは2010年にエプソンにキャリア入社されたそうですが、転職の経緯やエプソンに入社を決めた理由を教えてください。

私は、前職から一貫してプリンターの機械設計に従事しています。前職ではエプソン製のプリントヘッドやインクを使い、写真店向けプリンターの設計を行っていました。やりがいはあったものの、技術ありきの品質改善しかできないこと、そしてプリンターの本質的な価値に迫りきれないことにもどかしさを感じ、「もっと根本からお客様の課題に取り組めるコア技術をもったメーカーに転職したい」と思うようになりました。

当時エプソンの社員と一緒に仕事をする機会があったのですが、エプソンの原理原則を重視する姿勢や、不具合に対して真因を見極めてから策を打つ誠実な仕事の進め方に共感していました。何より、エプソンがもつ高い技術力は非常に魅力的でしたね。「ここでなら伸び伸びと新たなチャレンジができる」と転職を決めました。

エプソンに入社してからどのような業務を担当されてきましたか。印象的だったプロジェクトがあれば併せて教えてください。

私が入社したのはエプソンが商業・産業用のプリンターの機種ラインナップを拡大させていた時期で、そのうち新規事業であった写真店向けプリンターの機械設計に携わりました。その後、商業・産業用途のプリンター市場が急拡大していた中国に赴任し、中国市場の調査や中国国内での機械設計などを行いました。それから日本に戻り、現在は新たな市場に向けたプリンターの機械設計を担当しています。

商業・産業用プリンターにおいて特に重視されるのは、お客様のさまざまな用途に応えられる設計であることと、どのような状況や使い方であっても安定した印刷ができることです。印刷対象や用途について事前にヒアリングするのはもちろんですが、納品後もお客様とコミュニケーションを重ね品質改善をしていくことも大切です。

印象的だったのは、64インチ幅(約1.6m)の印刷ができる商業・産業用プリンターの品質改善プロジェクトです。あるお客様は、そのプリンターで印刷した糊付きメディアを貼り合わせて壁一面に一つの大きな絵を作っていたのですが、貼り合わせる際に印刷物の長さに微妙なズレが生じていました。われわれの想定を超えた使用方法であったため、プリンターの紙送りの精度と精度の持続性が足りていなかったのです。

そこで、お客様を訪問して丁寧にヒアリングをし、社内の企画部門や関連設計部門と連携しながら改善にあたりました。紙送り精度の持続性を向上させることで最初から最後まで同じ絵を出せるようになり、お客様に満足していただけるプリンターへと改良できました。

商業・産業用プリンターは売って終わりではありません。お客様に届けてからも常に「製品としてどうあるべきか」を考え続けることの大切さを改めて実感したプロジェクトでした。

高い技術力と部門横断のチーム連携で、品質をとことん追求

エプソンのプリンティング技術における強みや競争優位性を教えてください。

※小物やインテリアはすべてエプソンが印刷したものです

強みはやはり、高画質さだと思います。エプソンのインクジェット技術は、インクを印刷媒体に高精度に着弾させることで、高画質を実現しています。これは、あらゆる専門性をもった部門が協力して作り上げた結果であり、私たち機械設計部門の高精度な技術も重要な役割を担っていると感じます。

また、エプソンのプリントヘッドは多様なインクに対応しているため、紙に限らず塩ビ、フィルム、壁紙、ボード材、布、木材、金属、立体物などさまざまな素材に印刷が可能です。
このようにコア技術から完成品まですべての工程を自社で完結できる点も他社にはない特長です。

例えば、販売部門から「お客様が画質を上げたいと悩んでいる」という声が上がると、サービス、企画、設計部門のみならず、プリントヘッドやインクなどの開発部門が連携して改善策を検討することもあります。日頃から部門横断で協業するカルチャーが根付いていて、それぞれの強みを生かすことでより良い製品開発を目指しているのです。

プリンティングソリューションズ事業本部にはキャリア入社者も多いそうですが、どのような人材が活躍していますか。

当事業本部に限らず、エプソンにはさまざまなバックグラウンドをもつ人が集まっています。自動車メーカーやソフトウエア開発会社の出身者など、プリンター業界未経験者も多く、自分の専門性や強みを発揮しながら互いを高め合って活躍できる会社だと感じます。

現在活躍するメンバーに共通しているのは、一つ一つの問題を論理的に考えられること、そして新しいことに前向きに取り組むチャレンジ精神をもっていることでしょうか。みな技術者として製品に真摯に向き合い、また新しい製品や研究に貪欲に挑戦しています。私自身も、多様な知見をもつ仲間と切磋琢磨し、いつか世界初と呼ばれるような製品開発に携わりたいと思っています。

企画、マーケティング、開発支援も担う、エプソンの営業職の魅力

営業本部 LFP営業部/太田 有香里

太田さんは、前職で研究開発職に従事した後、エプソンに営業職で入社されています。転職の経緯やジョブチェンジの背景についてお聞かせください。

前職では、オフィス用プリンターの開発や、インクジェットの研究開発などを担当していました。インクジェットのスペシャリストを志すようになったのをきっかけに、より広い知見を身につけたいと考えるようになり、新しい環境に転職することにしました。

前職は自社の強みを製品に落とし込んでいくプロダクトアウトが主流だったため、対極ともいえるマーケットインの製品開発をしている電機メーカーを探していました。その一つがエプソンだったのですが、採用面接の場で「市場起点でプリンター開発をしたい」と話したところ、「エプソンの営業職はマーケティングに近く、ターゲット調査や設計へのフィードバックなどを積極的に行う」と聞き、興味をもったのです。

特に印象的だったのが、面接の場で人事が親身になって私のキャリア相談にのってくれたことです。中長期的な視野で社員一人一人のキャリアに寄り添い、一緒になって考えてくれる。そんな誠実で温かい会社だと感じ、入社を決めました。

現在はどのような業務を担当されていますか。

私の所属するLFP営業部は、「ラージフォーマットプリンター」と呼ばれる大型の印刷分野を扱っています。具体的には、美術館の展示や屋外の巨大看板などにおける写真印刷、布印刷などです。最近はファッション業界にも進出していて、Tシャツ印刷のニーズも増えています。

私のメイン業務は担当製品の販売報告や進捗管理ですが、それ以外にも新機種開発にかかわる市場調査や製品価格の設定設計部門へのフィードバック、プロモーション企画なども行います。現在はTシャツ用プリンターを担当しており、企画段階から製品開発に携わっています。

開発職から営業職に転身されたことで、新たな学びや発見はありましたか。

はい。お客様と直接やりとりする機会が増え、市場動向にも常に気を配るようになったことで、どんなときもユーザー目線で考えられるようになりました。また、高い技術力と部門横断のチーム連携で、品質をとことん追求できること、企画、マーケティング、開発支援も担えることにエプソンの営業職としての魅力を感じます。

私が開発職に従事していたころは、インクのにじみやグラデーションなど印刷品質に過度にこだわっていたように思います。しかし、お客様は多くの場合、細かな品質よりもコストを重視しています。そもそもお客様の想定価格に近づけないと購入の検討すらしてもらえません。この学びから、企画段階からコスト感覚をもつようになり、開発部門にも積極的にコスト削減の提案ができるようになりました。

生まれて初めて訪れた信州・長野で、自分の可能性がさらに広がると思った

太田さんは京都生まれ京都育ちで、前職は大阪勤務だったそうですが、エプソン入社を機に長野に転居することに不安はありませんでしたか。

いえ、特に不安視したことはありません。エプソンに入社するまで長野を訪れたこともありませんでしたが、むしろ、知らない世界に飛び込むことで自分の可能性が広がるのではという期待が大きかったです。

前職の大阪勤務のころは、毎日電車で片道1時間をかけて通勤していました。それが今では、オフィスまで徒歩10分の距離に住んでいます。空いた時間は英語学習など自己啓発に費やしていて、充実した日々を過ごしています。

休日には東京へ出向き、展示会や美術館を巡ることが多いです。長距離バスに乗れば約3時間で着きますし、運賃も片道約3,000円。意外と気軽に行けるんですよ。大阪にいる友人とはオンラインゲームなどで変わらず連絡を取り合っていますし、いい意味で都会に住んでいたときと変わらない生活をしているかもしれません。

エプソンだからこそ得られる経験、描けるキャリアはどういったところだと感じますか。

エプソンでは、ジョブローテーションが積極的に行われています。その判断材料となるのが、年1回実施されるキャリア面談です。面談では、自分がやってきたことや今後やっていきたいことについて、人事や上司と1on1で自由に会話します。キャリア面談で話した内容は文書化されて残り、適したポジションがあればジョブチェンジも可能で、海外赴任のチャンスもあります。

また、部内メンバーとキャリアプランを話し合う会も定期的に開催しています。同じ営業部のなかでも、海外販社でマネージャーになりたいという人もいれば、数字が好きで経理を目指している人もいて、いろいろな個性と専門性をもった人材が集まっていることを実感します。一緒に働く仲間との相互理解も深まりますし、自分自身のキャリアを考えるうえでも大きな刺激になっていますね。

歴史あるものづくり企業とあって「男性が多いのではないか」とイメージされることもあると思うのですが、太田さんはエプソンの職場環境についてどうお感じですか。

エプソン全社の男女比は、女性が約17%、男性が約83%です。たしかに男性が多い職場ではありますが、性別を意識するような機会はほとんどなく、誰にとっても働きやすい環境だと感じています。例えば、子育てをしている同僚の女性の一人は、毎日15時ごろに仕事を終えるなど、ワーク・ライフ・バランスを保ちながら活躍しています。

育児、介護、病気の治療など、働く時間に制約がかかることは誰しもあり得ます。困ったときはお互いに助け合い、補い合う。エプソンでは当たり前の光景ですね。

社員の多様性という意味でも、誰もが働きやすい職場であることは事業にプラスに働くのではないでしょうか。さまざまな経験をもつ多様な人材が集まり、異なる意見を出し合うことで、最終的に事業がより良い方向に向かう、私はそう思っています。

水を使わずその場で再生紙を生み出す、唯一無二の技術力

プリンティングソリューションズ事業本部 PL企画設計部/大田 昌紀

大田さんは2018年にエプソンに入社されたそうですが、転職の経緯や入社の決め手についてお聞かせください。

前職では自動車のエアコンシステムにかかわる部品の機械設計を行っていました。主に担当したのは電動バルブや車室内センサーなど電子系部品です。中小企業ということもあり業務範囲は多岐にわたり、ソフトウエア設計や製造ラインのリーダーなど幅広く経験しました。機械設計の仕事は好きだったのですが、部品ではなく、完成品を自分自身で作ってみたいと思うようになり、転職に踏み切りました。

エプソンに入社を決めたのは、採用説明会で知った「PaperLab(ペーパーラボ)」に衝撃を受けたからです。PaperLabは、水を使わずに(※)使用済みの紙を新しい紙へと再生する環境にやさしい製紙機です。この画期的な技術に魅了され、技術職としてその技術を習得したい、そして私も人に感動を与えられるような製品を作りたいと強く思いました。

(※機器内の湿度を保つために少量の水を使用します)

エプソンに入社されてから、どのような業務を担当されてきましたか。

PaperLabの次期モデルの機械設計を担当しています。現モデルも高い評価をいただき、さまざまな自治体や企業でご活用いただいていますが、次期モデルでは普及スピードを一気に加速させたいと考えています。

具体的な業務としては、企画部門と連携して設計について意見を出し合ったり、エレキ部門と基板の小型化について検討したりと、さまざまな部門と連携しながら改良を進めています。試作品一つ作るだけでも大掛かりなプロジェクトなので、生産管理・生産技術部門との連携も欠かせません。

エプソンで働く意義や醍醐味についてお聞かせください。

PaperLabのような他社にはない高い技術力をもち、その機械設計にかかわれること、それ自体がエプソンで働く醍醐味だと思います。そのうえで、エプソンが重視している環境への取り組みに貢献できることも働きがいにつながっています。

PaperLabは、従来の製紙工場での紙のリサイクルに比べ、使用する水の量を1%以下に減らしました。かつリサイクルにかかる手間や時間も大幅に削減することで、環境負荷軽減を実現しています。(※)お客様にもこの点を高く評価していただき、多くの自治体や企業で導入が進んでいます。

環境への取り組みが注目されている今、エプソンが従来こだわってきた省エネ、省資源の製品開発の重要性が一層高まっていくのではないでしょうか。

(※取り組み名:PaperLab A-8000Zの原材料調達、製造、流通、使用、廃棄に伴って排出されるCO2排出量に関するオフセット 認証番号:CO2-1008)

自然に囲まれ、医療も教育も充実。家族で「長野暮らし」を満喫

大田さんは入社を機にご家族で長野に移住したそうですが、転居について不安やためらいはありませんでしたか。

正直、私も妻も首都圏の街中で育ったため、長野への移住には若干の不安がありました。それでも妻は「やりたい仕事ならどこへ行ってもやるべき」と背中を押してくれたので思い切って飛び込んでみました。結果的に、今ではすっかり長野生活を満喫しています。

長野は農産物が豊かで野菜も果物もおいしいものにあふれています。軽井沢や上高地、安曇野など観光地まで足を延ばすこともでき、休日のアクティビティーに困ることはありません。

また、長野に移住してから子どもが生まれたのですが、自然に囲まれ、伸び伸びとした環境で子育てできていることに満足しています。教育や医療も充実しているので、不安に思うこともありませんね。

最後に記事をご覧の方にメッセージをお願いします。

エプソンではキャリア入社者が多く活躍しています。入社後には手厚い社内教育があり、部門やチームごとのプロセス教育も用意されているので、私のような他業界の出身者もスムーズに会社や業務になじめています。

新しいことにチャレンジしたい、新しい技術を使って新しい製品を作りたい。そういった意欲にあふれる新しい仲間と働けることを楽しみにしています。

出典:ビズリーチ 公募ページ「セイコーエプソン株式会社」(2022年11月1日公開)より転載