技術開発から物流まで。全社を横断で支える「生産企画本部」

プリンター、プロジェクター、産業用ロボット、時計など、幅広い分野で世界最先端の製品をグローバルに展開しているセイコーエプソン株式会社(以下、エプソン)。その生産企画本部は800名を超える体制で、ものづくり、サプライチェーン、そして品質に関わる全社横断の取り組みで事業の競争力を高めています。生産管理の三大要素である「Quality(品質)」「Cost(コスト)」「Delivery(納期)」に、「環境への配慮」と「リスク管理」を加えた5軸の戦略や、データドリブン経営への転換など、今まさに変革期を迎える同社のサプライチェーン。その最前線に立つ生産企画本部副本部長にお話を伺いました。

生産企画本部 副本部長/佐藤 考亮

はじめに、生産企画本部の役割や特徴についてお聞かせください。

エプソンの生産企画本部は、「ものづくり」「サプライチェーン」「品質」に関わる全社横断の取り組みを担い、それぞれの競争力を高めることをミッションとしています。組織は自動化技術開発部、加工技術部、ものづくり塾、CS品質企画推進部、そして生産企画部の5つで構成され、800名を超える体制でエプソンにおける各事業の生産技術や生産管理部門を後方から支えています。

サプライチェーンの領域においては、各事業直轄の生産管理・調達部門がありますが、私たちは全社的な視点から、システム化やデータ活用をはじめ、輸出入業務や間接材の調達といった、本社に集約したほうが効率的な業務を担当しています。このように、一般的にイメージされる「生産管理」の領域と比べると、かなり守備範囲が広いことが特徴です。

海外赴任が転機に。サプライチェーンの専門性を磨く

生産企画本部のなかで佐藤さんは主にサプライチェーン領域を担われていますが、これまでどのようなキャリアを歩まれてきたのでしょうか。

私は当社に1993年に新卒で入社しました。入社後は、生産企画部(当時)の貿易実務を担当する海外流通課に所属。輸出入のオペレーション業務に携わりました。海外との接点が多く、自分の業務で貨物が動くダイナミックさに大きなやりがいを感じていましたね。

その後、1996年には株式会社エプソンロジスティクスに出向し、国際物流の実務経験を積みました。2003年からは中国の販売会社ESIEに5年間赴任し、販売オペレーション全般を担当。33歳で40名ほどの部下を持つ立場となり、初めての本格的なマネジメントを経験しました。

2008年に帰任後は、エプソンロジスティクスや国内販社で販売物流管理を経験。2010年からは情報画像生産管理部の課長としてロジスティクス強化に取り組み、2016年には本社生産企画本部の部長として全社的なサプライチェーン戦略の立案・推進を担いました。2023年にはMS生産管理・調達部の部長として産業用ロボットの生産管理業務を担当し、2024年には新ERP(統合基幹業務システム)導入プロジェクトを主導。そして2025年からは、生産企画本部の副本部長として全社のサプライチェーン強化に取り組んでいます。

5年にわたる中国赴任では、どのような学びや成長実感がありましたか。

自分自身の視座が上がり、仕事の幅も一気に広がったと感じます。部下のマネジメントはもちろん、輸出入や海外物流に加え、販売会社としてのディストリビューション、倉庫管理、アフターサービス用パーツの供給など、サプライチェーン全体を俯瞰する必要があったからです。

文化の差や言語の壁を肌で感じる日々のなか、商習慣の違いから取引の正常化に苦労することもありましたが、大きく成長し、自身のキャリアのターニングポイントにもなった貴重な経験でした。

不確実性が高まる世界。多様化するリスクにいち早く対応できる理由は

生産企画本部では、サプライチェーン戦略をどのように描いているのでしょうか。

サプライチェーンでは、当然ながらQCD、すなわち品質・コスト・納期のバランスを取ることが重視されますが、昨今はこれらに加え「環境への配慮」と「リスク管理」も重要な要素となってきています。

これら5つの要素は互いにトレードオフの関係にあります。例えば、環境を優先すればコストが上がり、納期を最優先すれば在庫が膨らむといった具合です。そのため、当本部では事業ごとに重点を定め、具体的なKPIまで落とし込むようにしています。事業特性に合ったKPIを設定することで柔軟にバランスを取り、全体を最適化しているのです。

それぞれの要素について、具体的にどのような取り組みがなされていますか。

まず「環境への配慮」は、ここ数年で一気に加速しました。会社として明確な環境ビジョンを掲げて以降、サプライチェーン全体で環境負荷の低減に本格的に取り組んでいます。まず、自社拠点で使用する電力の再生可能エネルギー化を推進し、2023年末には全世界で100%を達成しました。現在は、コストを抑えながらこれを安定的に維持していくことが新たな挑戦となっています。

加えて、調達する部品や資材におけるCO2排出量の削減にも力を入れており、サプライヤーと協力して、部品1個あたりのCO2排出量を正確に把握できる仕組みづくりを進めています。物流面では輸送ルートの短縮化や直送化、積載率の向上といった物流面での取り組みも進め、CO2削減につなげています。これらの施策は環境への貢献はもちろん、コスト削減にもつながるため、社内でも前向きに取り組みが広がっています。

「リスク管理」では、対応すべきリスクが多様化しています。地震などの自然災害に加え、地政学リスクや感染症への備えが不可欠です。特に地政学リスクは、発生してからでは遅いため、企画や営業など他部門と連携して情報を集め、事前に分析・対策を講じています。全世界で事業展開している当社だからこそ、各地域に情報網があり、いち早く価値ある一次情報を取得できるのです。サイバー攻撃に対しても、サプライチェーン全体でセキュリティを強化し、レジリエンスを高める取り組みを進めています。

「コスト」においては、近年はROIC(投下資本利益率)に注目しています。これにより、在庫や設備、IT投資など資産の効率的な活用に目を向けるようになりました。サプライチェーンの現場で働くすべての人が、利益だけでなく資産の使い方という視点から経営に貢献できるようになっています。環境・リスク・収益性のすべてを見据えながら、エプソンのサプライチェーンは次なるステージへ進化しています。

システム刷新とデータドリブンで実現する、高付加価値な働き方

今後の戦略や展望について教えてください。

現在、私たちは大きな転換期を迎えています。多くの基幹システムが更新時期を迎えるなか、ERPをはじめとしたシステム刷新を進めています。この機会にシステムとデータの標準化を進め、より高次元のサプライチェーンオペレーションを実現しようとしています。

特に重視しているのが「データドリブンな仕事の進め方」です。従来は、各担当者が手作業でKPIを算出していましたが、今後は全社共通のシステムから自動で出力できる仕組みを整えます。指標が標準化されれば、日常業務の手間を減らし、その分を分析や戦略立案などの高付加価値の仕事に充てられます。また、システム統一により人材の柔軟な配置も可能になります。標準化が進めば、事業を超えた人材の活躍の場が広がります。

こうした変革を通じて、省力化を徹底しながら、人にしかできない価値ある仕事を再定義していく。テクノロジーと人の力を両輪に、エプソンのサプライチェーンを次のステージへ進化させていきます。

信州から世界へ。挑戦を後押しするエプソンのカルチャー

今、エプソンの生産企画本部に参画する魅力は何でしょうか。

当社の生産管理や調達、物流は、今まさに過渡期にあります。システム化やデータ活用など、サプライチェーンのオペレーションをより高い次元へ進化させるプロジェクトの真っただ中にあり、その変革に携われるのは大きな魅力だと思います。

また、生産管理や調達といったサプライチェーンにまつわる仕事は、いわば「コーディネーター」のような役割です。モノやお金の流れを滞りなく進めるために、生産部門や設計部門など、社内のさまざまな人と連携していきます。グローバルな仕事であるのに加え、人とのつながりのなかで成果をつくっていく。そうした喜びを感じられるのがこの仕事の一番の魅力です。

佐藤さんは現在、長野県に赴任されています。長野での暮らしはいかがですか。

長野は空気と水、景色がきれいで、とても住みやすい場所です。休日は趣味の自転車を存分に楽しんでおり、北アルプス方面や白馬まで往復するロングライドに出掛けています。豊かな自然があるからこその趣味を満喫でき、それぞれに自分の楽しみを見つけられる土地なので、仕事とプライベートの両方を充実させやすいと思います。

最後に、記事をご覧の方へメッセージをお願いします。

当社は長野県に本社を構えながら、ビジネスを世界規模で展開している会社です。向き合う市場はグローバルで、事業領域も幅広いうえに、意欲のある人に率先してチャンスが与えられる環境があります。また当社は社員のキャリア支援にも注力しており、キャリアプランの設計支援や、職種を変えられるジョブローテーション制度など、社員一人一人が希望するキャリアの実現をサポートしています。

仕事の幅を広げたい、海外で働きたい、新しいことに挑戦したい、そうした前向きなチャレンジを、私たちは力強く後押しします。意欲ある皆様のご応募をお待ちしています。

「出典:ビズリーチ 公募ページ「セイコーエプソン株式会社」(2025年12月2日公開)より転載」