Interview
社員インタビュー
電子機器を支える水晶。
その可能性を掘り尽くしたい。
T.K.
マイクロデバイス商品開発
2018年新卒入社
基礎工学研究科 物質創生専攻/基礎工学部 電子物理科学科
- 入社動機
大学での学びを生かすために、電子部品に携われる企業を検討。加えて、持続性の観点から環境への配慮と地域共生を大切にしているかを重視し、両軸を満たしているエプソンを選ぶ。
01
電子回路に不可欠な「指揮者」。
手がけている「水晶振動子」について教えてください。
スマートフォンなどの電子機器には複数の電子回路が組み込まれ、その電子回路にはタイミングデバイスと呼ばれる部品が搭載されています。電子回路を正しく機能させるには、オーケストラの指揮者のように動作のきっかけを与える存在が必要なのですが、それこそがタイミングデバイス。そして、タイミングデバイスの重要な核となっているものが「水晶振動子」です。水晶は電圧をかけると安定した周波数を発振する性質があり、それを利用して電子回路を動かすリズムをつくっているのです。多くの人にとっては初めて聞くものかもしれませんが、タイミングデバイスは電子機器のほとんどに搭載されている身近な部品。エプソンが高いレベルのシェア(※)を誇る分野でもあります。
※水晶発振器(数量)のシェア。出典:QYRESEARCH社 Global Timing Device Market Report, 2023年発行
水晶振動子とはどう関わってきたのですか?
実は私も、入社するまで水晶振動子についてはほとんど知りませんでした。水晶と言えば宝石のようなイメージしかなく、それがタイミングデバイスの核として電子機器に搭載されていると言われてもピンとこなかったんです。入社1年目はまず、水晶が振動する原理や、水晶振動子の用途などを学ぶことからスタートしました。知れば知るほど可能性を感じられて、とても面白かったですね。見識が十分に深まって以降は、水晶振動子の中でも「32kHz振動子」の要素開発と商品設計に携わってきました。水晶振動子にとって重要なのは、長期的に一定の周波数を安定して発振し続けること。そのために必要な構造や形状をシミュレーションと試作評価によって絞り込み、課題の抽出と解決を重ねながら商品化につなげています。
02
製品を0から100まで、
自分の手で。
仕事の魅力について教えてください。
電子デバイスは、製品を0から100まで自分が関わってつくりあげることができる。そこが魅力だと思います。企画部門が立てたコンセプトをどう実現するかを考えていくのですが、必要とあれば要素開発から始めることもできます。自分に知見がなければ先輩や関連部門にすぐ聞きに行ける風通しの良さもありますし、ヒントをつかむために製造現場を見ることもしやすい。現場、現物、現実、原理、原則のいわゆる「5ゲン主義」が、言葉だけではなく浸透している会社だと思います。だからこそ、ものづくりに思いきり打ち込める。しかもそれが、身近な製品に結実するのは嬉しいですね。
仕事の中で、特に記憶に残っているシーンは?
少し前まで、ケガキという作業がありました。試作品の水晶振動子を評価した後、その結果がひと目でわかるよう、水晶振動子を収めたパッケージにマーキングしていくんです。クリーンルームで防塵着に身を包み、たった2.0×1.2 mmの製品をピンセットで押さえては、ペンで引っかいて印をつける。しかもそれが1000個も。地道な作業ですが、一つ一つの試作品を設計した時のことまで思い出し、ますます愛着が深まっていくんです。今はレーザーでマーキングできるので効率的になりましたが、ふと手作業が懐かしくなることもありますね。
03
環境と地域を思うことから、
企業の持続性は生まれる。
開発において、大切にしているテーマはありますか?
環境への配慮です。「省・小・精」で紡がれるエプソンのDNAが水晶振動子には刻まれ継承されています。世界最小を目指し、消費電力を抑え、精度よく振動する水晶で省エネにつなげていく。効率的で無駄を省くものづくりで持続可能な社会に貢献する。それが今後も開発においての一つのトレンドであると感じていますし、私も一層力を入れ、エプソンの強みを継承していきたいテーマです。
エプソンへの入社動機も「環境対応」が大きかったとお聞きしました。
持続性のある企業を選びたかったので、環境対応と地域貢献に力を入れているかどうかを重視しました。信州の諏訪市で創業したエプソンには自然環境を敬う風土があり、製品にもそれが現れています。また、地域との共生にも力を入れています。松本市を拠点とするサッカークラブ「松本山雅FC」のオフィシャルスポンサーを務めているのも、そんな取り組みの一つですね。私自身もサッカーファンなのでよくわかるのですが、サッカークラブは地元を盛り上げる大切な存在。エプソンは、そのスポンサーシップを通じて地域の活性化に寄与しています。すばらしいことですし、世紀を超えて持続していくのはきっと、こういう姿勢の会社ではないかと思っています。
エプソンで今後挑みたいことは?
水晶の奥深さを追及することです。結晶が対称的ではないため、加工方法によって千変万化し、さまざまな周波性を応答よく奏でてくれるのが水晶です。その価値を世の中に提供できる余地の探求こそ、開発の使命だと思っています。いずれは、博物館の学芸員のように、エプソンのことを世界中に知ってもらうための活動もしてみたいですね。
One Day Schedule
1日のスケジュール例
- 8:30
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- 出社・朝会
- 前日にあった出来事や、今日の予定についてチームで共有。
- 9:00
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- 測定サンプル回収・データ分析
- 10:00
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- 開発レビュー
- レビューシートに沿って開発進捗の報告。
- 12:00
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- 昼休み
- 昼食のあとは事業所併設の体育館で卓球をしたり、読書をしたりして過ごす。
- 13:00
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- 昼会
- 課のメンバーが持ち回りで直近の成果を発表し、困りごとも共有。
- 14:00
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- 素子設計シミュレーション
- 素子形状の最適化を行う。
- 16:00
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- 測定サンプルのセット、測定制御プログラムのデバッグと実行
- 時には製造の装置を借りて夜通し動かすことも。
- 18:00
-
- 退社
Off Style
オフの過ごし方
基本的にはインドア派で、YouTube™で歴史解説動画を見るなどしています。一方で、出身地のJリーグチームであるアルビレックス新潟の試合観戦にはよく出かけ、遠征先での観光や食事を毎月の楽しみにしています。また、季節ごとに長野の自然も味わっています。春は高遠町の桜、夏は阿智村の星空、秋は天竜川下り。スーパーマーケットでも地元農家で採れた旬の果物や野菜が並ぶので、自炊も楽しいですよ。